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静岡県内に東海道本線の「快速」が走らない。こうした中、主要駅から空港への移動時間が30分以内に収まる掛川駅のポテンシャルについて注目した。空港バスの充実を図るとともに、主要駅の「運行本数1.5倍増」を望みたいものだ。

 

***前号「［連載］富士山静岡空港の“伸びしろ”に迫る！（5）」では、静岡県内に東海道本線の「快速」が走らない現状を紹介する一方、主要駅から空港への移動時間が30分以内に収まる掛川駅のポテンシャルについて触れた。

空港と駅とを結ぶバス交通の充実を図ってもらうとともに、県内主要駅の「運行本数1.5倍増」を望みたいものだ◇中央リニアが空港集客の脅威に伊豆、駿河、遠江の旧藩から成り、東西に長い静岡県富士山静岡空港は三遠南信（三河＝愛知県東部、遠州＝静岡県西部、南信＝長野県南部）はおろか、浜松市という“大票田”、さらには東部・伊豆エリアからの利用者も十分に吸引できていない側面がある。

｢セントレアだったらリムジンバスでアクセスできるのにね｣（浜松）、｢飛行機を利用するなら羽田かな｣（三島）ーー友人のコメントはざっとこのようなものだったましてや山梨県や長野県から利用客を取り込むのは相当ハードルが高いというのが実状であり、。

中央リニア完成の暁には、山梨県の居住者は羽田や成田へ、長野県南部はセントレア（中部）へという流れが固定化してしまうのではないかと懸念される。

三島駅からは東京方面のバスも多く発着◇東海道本線にも「1.5倍増発」を中央リニア完成後に「静岡県内新幹線駅の停車数を1.5倍に増やす」という試算があったが、これも不確実性が伴う経営的な都合はもとより諸事情で絵に描いた餅に終わる事態も想定しなければならないだろう。

むしろ、東海道本線「熱海-静岡-浜松」間の「運行本数1.5倍増」を目標に設定してみてはどうだろうか「快速」や「特別快速」を静岡県内にも走らせ、列車発着本数を「豊橋駅並み」になれば、巷で叫ばれている新幹線「のぞみ」の“静岡パッシング”という“不公平感”の払拭にも役立つ。

かりに富士山静岡空港の直近駅である金谷駅に「快速」が停車する場合、インバウンドの誘客はもとより、他県のSLファンを吸引する上でも追い風となるだろう。

東海道本線を走る列車の車窓から（豊橋駅付近）◇中国市場向け“てこ入れ”策ところで、静岡県がインバウンド促進を目的とした公式観光アプリという位置づけでリリースした「TIPS（Tourism Information Platform of Shizuoka）」というものがあるが、どうやらAndroid版についてはGoogle Play以外に提供チャネルが見当たらないようだ。

これでは通常、GMS（Googleがスマートフォン向けに提供するサービス）が搭載されていないデバイスを使用する中国本土のユーザーを獲得していくのは困難だろうまた、アプリにはツール的な要素も加えてほしいところだ。

たとえば入国時のVisit Japan Web（入国手続オンラインサービス）等、空港で必要な手続きに関する情報や公共交通の把握に役立つサイトのリンク、タクシーやハイヤーの配車予約ができる機能が搭載されているとしたらアプリの値打ちは高まる。

空港アクセスの弱さを補い、ぜひ旅行者の不安を解消していってほしいところだむろん、中国人旅行客にフォーカスするならば、WeChat（微 信）やアリペイ（支付宝）のミニプログラムでサービスが提供できるのなら言うことはない。

iOS版「TIPS」のダウンロードサイトから◇富士山静岡空港の伸びしろは？上海をハブ空港とする中国東方航空は欧州だけでも8か国と直行便がある欧州からの観光客を上海経由で迎え入れるアプローチもありだろう世界的な日本茶ブームにあやかり、東京や名古屋経由でなくダイレクトに富士山静岡空港に旅行者を呼び込む道筋を提示できればさらに有意義だ。

同空港が静岡県内の限定されたエリアの人が愛用するだけのローカル空港から、真の開かれた国際空港へと飛躍することは決して不可能ではない。富士山静岡空港にはやはり伸びしろがある。（耕雲）

東横イン三島駅店。鉄道駅アクセスが良い東横インに宿泊中に外国人の宿泊客を何度も目にした。ただし、彼らは富士山静岡国際空港を利用して入国したのでないのはほぼ確実だ。

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